勝ち組 負け組

まず昨今よく耳にする表題の言い方が、わたしはそもそも大嫌いで、
その理由は、個人として捉えずに、それぞれ集団として語っているからです。

今でこそ和らいだ気もしますが、自分も元々どちらかと言うと負けず嫌いの性格で、しかも強豪の体育会に属していたこともあり、勝ち負けの喜びや悔しさに近かった人間だと思います。
が、うっすらと心のどこかで、その手のことをバカバカしく感じていた記憶もあります。

数年前だか、ある掲示板に「人間も動物のように弱肉強食にしたらシンプルでいい」といった内容の書き込みがあり、そこにおそらくは真っ当な研究者が、非常に明晰かつ一太刀でレスを返すのを目にしたことがあります。

その方のレスは、「よく人間界では誤解されていますが、自然界は弱肉強食ではなく、全肉全食です。個体として強いトラが絶滅の危機に瀕し、個体として弱いネズミが繁栄を続ける。しかし、いずれにしろ、どちらも食い食われるのです。弱い個体は、種族を維持し、種族内の弱い者に可能なかぎりの保険をかけ、弱さを強さとして繁栄していきます。」という趣旨のものでした。

先ほども書きましたが、わたしはもともと勝負事が嫌いではないけれど、負けた者がすべてのチャンスを失うのは不当だと感じますし、そもそもそんなことに参加したくもない人がバカにされるのもおかしい。たとえば、生まれてこの方自信がなく、いくつか頑張ってはみたけれど特に芽も出ず、実家が金持ちなわけでもなく、縁故に恵まれているわけでもない、だからといって自棄にもならず、自ら命を絶つこともせず、自分の人生寿命をじっと耐えぬこうとしているような方、たくさんいらっしゃるでしょう? こういう人たちにきちんとスポットがあたらない社会は、とても貧しく荒んでいると思います。種族としての知恵が大幅に欠けていると思います。いまの日本、いかがでしょうか。

以前、かの有名な勝負師である桜井章一さんが、「勝つってね、虚しいんですよ?」と言っていました。なるほど、こういうことを言える人には「勝つ資格」があったんだろうなあと思います。

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