鉄火巻とかっぱ巻

私、けして清貧を尊ぶ気質じゃありません。
どんどん豊かに、飢えることなく、美味しく、
気持ちよく、心地よくなるべきだと考えています。

ところで私、回転寿司に行くと、
ほぼ毎回鉄火巻とかっぱ巻を頼むんですよ。

あなたも?
これは奇遇。

私は群馬の生まれで、群馬は山のものが基幹食材である地です。
冷凍技術が格段に上がった現在とはまるで状況が違いますし、
海のものはあんまりよくなかったはずですが、
きっと祖父にとっては、寿司=ご馳走だったのでしょう。
祖父宅から帰る日には、必ず食べさせてくれました。
カドヤという名前の今でいうファミレスみたいな和食屋さんで、
寿司桶のフリしたプラスチックの桶に、
たしか三ツ矢サイダーのロゴみたく3列に並んでた。鉄火巻。

不思議なのは、
肝心の味はまるで思い出せないのだけど、

だいたいこんな感じの照明で、
自分の視線の高さはこんなくらいで、
こんな声色で誰かと誰かが喋っていて
さっきまでいた家ではこんな音色で鈴虫が鳴いてて、
トイレまでの廊下はこんなくらい暗くて寒くて、
炬燵で曽祖母ちゃんがこんな表情で煙草を吹かしていて、

はるか遠い記憶なんだけれど、なぜか「こんな」と。
「こんな」ばかりを憶えているんです。
おれ、どうやって集めたんだろう。

まあ、それはおいといて、
最近読んでいた本にですね、かの有名な懐かしいフレーズ、
「家庭の幸福は諸悪の本」と「親があっても子は育つ」
が引用されていたので、まあそりゃそうだ、と呟きながら、
鉄火巻を美味しくもぐもぐしてました。それが土曜の昼です。

ちなみに、かっぱ巻を頼むのは、
わさび巻的な役割というか、
なんとなく最後にさっぱりとしたくて。

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