樹にまつわるエトセトラ

昨年末、医学書院さん発行『訪問看護と介護』の取材を受けました。
外観撮影の際に撮っていただいた写真がアイキャッチの画像です。(写真提供:医学書院)

ベランダに果実の樹があるのがおわかりでしょうか。
今回のエントリーではこの樹についてご紹介させていただきますね。
デザインラボと訪問看護ステーションを併設しているこの民家、実は築六十年がたっています。賃貸物件で、入居した時から一度オーナーさんが変わっています。

現オーナーさんは、Twitterでも何度かご紹介させていただきましたが、コロナ禍にわざわざ遠方から除菌シートや防護セットなどを買い集めて送ってくださるような心厚い方で、御礼の電話をするといつも「大変なお仕事だと思います、みなさんお気をつけてがんばってくださいね」と励ましてくださいます。本当に、偶然のご縁でしかないのですが、ありがた過ぎます。

前オーナーさんは、築六十年の民家をスタジオのようにリノベーションして、おそらくご自分で使われていたのだと思います。機能を優先してスペースを最大活用してあるので、一軒家なのに浴槽がありません(シャワールームはあります)。なので、こちらも偶然のご縁としかいいようがないのですが、ステーションとして入居するにはこれ以上ない条件でした。

いまから五年前に入居後、前オーナーさんが一度訪ねていらして、役員でご挨拶させていただいた時に聞かれたことがあります。

「この樹なんですけど、じゃまになっちゃいますかね?」

別にじゃまではないし、むしろあったほうが雰囲気も匂いもいいなと思っていたのでそうお伝えしたら、「実は、娘が生まれた時の記念に植えた樹なんです」と。「なので、無理にとは言えないのですが、残していただけたらありがたいです」と話されました。

あれから五年が経ち、オーナーさんも変わり、先日、現オーナーさんが所用があり訪ねていらっしゃいました。お電話では何度もお話させていただいていたのですが、直接対面するのははじめてで、でもお話や声でなんとなく人柄って伝わりますよね。想像していた通りのやわらかい方でした。そこで立ち話の最中に、ちょうど樹の話になったんです。

現オーナーさんがこの物件を買い取る際、前オーナーさんから樹についてのエピソードを聞いていたようで、前述したようなお人柄の現オーナーさんは「そうですか。それでしたら、できるかぎり残したいです」と受諾してくださっていたとのこと。

この民家を素敵にリノベーションしてくれた方が娘さんのために植えた樹。
その思いを引き継いで私たちを応援してくださる方が残してくれている樹。
有名出版社さんの特集記事にじゃじゃーんと登場することになった樹。

ベランダに出ると、つんとした柑橘の匂いがするんですよ。
大切にしたいです。

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