同業の友人で、バンド仲間で、たまたま大学の先輩でもある、でぃぐにてぃの吉田真一さんが発起人をつとめる署名活動がbuzzfeedで記事になっていますので、まずはこちらの記事をご覧いただければと思います。
わたしは、デザインラボと訪問看護ステーションの経営者をしていますが、在宅ケアの現場経験としては訪問介護の出身者です。後述するような活動がしたいために起業し、そのためには現場経験が必須だと考え、訪問介護の現場を三年と少し経験しました。
そして現在、訪問看護ステーションを経営して丸5年になるのですが、両方の現場を知る者としてこれだけは言えます。
絶対に、間違いなく、訪問介護さんが守られなければ在宅ケアの現場は守られません。
職域と報酬の関係上、障害や病気があっても自宅で暮らしてゆきたい方にたいして「最も頻度が高く」「最も暮らしに寄り添い」「最も細やかな」サポートをしてくれるのが訪問介護さんなのです。つねに最前線で、自身のリスクも利用者さんのわがままも引き受けながら、毎日街中を駆け回って在宅ケアを支えてくれているのが訪問介護さんなのです。
弊社は訪問看護ステーションではありますが、そういった存在である訪問介護さんの現在の処遇には強い違和感をおぼえます。どれだけ訪問看護が訪問介護さんの目利きに助けられていることでしょう。どれだけ利用者さんが訪問介護さんの感性に助けられているでしょう。現場のわたしたちはそのことを身に沁みて知っています。
自分自身が障害や病気を抱え当事者になった時、最前線で日々手厚くケアしてくれるのは訪問介護さんです。いつ当事者になるかもしれない私は、当事者になった時の自分を守りたいから、訪問介護さんを守りたいです。
もし、この機会に在宅ケアを、介護を、障害や病気を、自分ごととして考えてみたいという方がいらっしゃいましたら、こちらから署名活動についてご一読いただけたら幸いです。
実は、弊社がデザインラボと訪問看護ステーションを協働させて、社会科学を学んでいる学生のインターンシップや事務アシスタントとしての採用をしているのは、こういった歪みや軋みに対して不平や不満をこぼしているだけではなく、やがて未来において是正してもらうための種蒔きを、自分たちの手でしてゆくべきだと考えているからです。
社会科学を学ぶ学生さんは官庁やマスコミへ就職することも多く、つまり制度設計に関わったり、制度に対して申し立てをしたり、そういう将来を生きてゆく学生さんたちです。ならば、机上の勉強だけではなく、できるだけ早いうちに現場を知り、支援者たちの本音を知り、利用者さんの現実を知って欲しくて、デザインの力を使いながら、ひとりでも自分ごととして感じてくれる方が増えるための活動をしています。
フェデリコ・フェリニーニ監督の『8 1/2』という映画に「人生はカーニバルだ、ともに生きよう」というセリフがあります。でも勝手にひとりでにカーニバルにはなりません。自分たちの手でしてゆきたいです。