したたかなあたたかさ

冷夏予想は何処へやら、酷暑真っ只中ですが、
みなさま、体調いかがでしょうか。

この季節になると、あちらこちらで特集を目にすることもあり、
どうしても8/15のことを考えてしまいますね。

私は1974年生まれなので、もちろん戦争のことを直接知りませんし、
むしろ戦後すぐに生まれた団塊世代のJr.と呼ばれる世代です。
ですが一方で、まだ祖父母と孫が密接に関わりのあった世代であり、
その祖父母は戦争真っ只中を過ごしている世代でもあります。

実は今まで二度ほど、戦争について祖父に訊ねたことがあります。
一度目は、ずーっと昔のまだ物心ついたばかりの時に好奇心で。
二度目は、十年ほど前に三十を過ぎたあたりで、静かに。
その頃から祖父が弱ってきていたので、
今を逃すともう直接話が聞けないかもしれない、
と思い切って訊いてみたのをおぼえています。

祖父と祖母と私。
三人で、話をしました。

やっぱり青春時代の記憶って鮮明なんですよ。
情景が思い浮かぶようなエピソードをたくさん話してくれました。
そして最後に「でもな、おばあちゃんにも誓うが、おれは断じて殺めていない」と。

この言葉を聞いた時、自分が無性に恥ずかしくなりました。
また、これは、戦争を憎む十分な理由になるとも思いました。

決して祖父の証言を疑っているわけではありません。
ですが、戦争なら、人を殺めていて当然です。
なのに、もう八十歳をとうに過ぎたひとりの男性が、
現代を生きている私から無意識に倫理的な答えを要求されていて、
それになんとか応じようとしているんです。
しかも、自分の青春時代のことを。

なんて残酷なんだろうと。

でも。
ひとは、したたかであたたかくもあって。

ある詩人(戦争経験者)の本で知ったことがあります。
敗戦後の闇市において、たくさんの物資が出回っていましたが、
米や味噌など、生存のための必需品とあわせて、物流が絶えなかったものがあります。
なんだと思います?

答えは、化粧品です。

それを知った時、感覚的に救われた気持ちになりました。
現代で「したたか」というと、
他人を出し抜いたり、裏工作したり、な印象がありますが、
こういう種族としての根源的なしたたかさって、あたたかいなと思います。
したたかさこそ、本当はシェアしていくべきなのかもしれませんね。

そんなイメージで、また明日からも在宅ケアを盛り上げてまいります。

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