12年前の午後、自宅近くを歩いていた。
急にざざざっと木々がこすれるような音がした。
うわ、凄い風だな、と思ったら風なんか吹いてない。
次の瞬間、景色がぐわんぐわん揺れ出して、
ああ、眩暈だわ、おれ倒れるんだな。
ここまで7秒くらい。そこで正気に戻った。
これ、大地震だ。
高い建物の下敷きにならないように、
とりあえず広い場所まで逃げた。
その日の夜。
当時街道沿いに住んでいたのだが、
街道をぞろぞろ歩いて帰る人波をみて、
人ってこんなにいたのか、こんなに暮らしてるのか、
何処にいたんだろうと不思議に思った。
住んでいた地域の特性もあるだろうが、
街道沿いのアパートやお店が、
「トイレ貸します」「温かい飲み物あります」など、
手づくりした段ボールのお知らせをたくさん掲げていて、
こういう人々はいつも何をしてるんだろう、
何処にいるんだろうと不思議に思った。
あれから12年後の今日。
来月から着任する新管理者のポートレート撮影をした。
南三陸出身で、12年前の今日は実習中だったらしい。
当時、まわりの方から思いも寄らぬサポートをいただき看護師になれたと。
看護学校の同級生や、地元に住んでいる親御さんや友人に、
元気でがんばっている姿を見せたいと撮影にのぞんだ。
とてもいい写真が撮れた。
すべて偶然。だけど必然。