恥ずかしい男

三年半前にがんの摘出手術をうけて、いま定期CTと採血で経過観察中なんだけど、執刀医だった副院長先生が主治医としてずっと診てくれていた。でも、その副院長先生が諸事情で退職することになったらしく、先日診察に行ってみると代打の若手Drによる診察だった。正直、若いからとかではなく、自分にとってとても不安なことを相談する相手があっさりすんなり変わってしまったことに、気持ちの置き所がなかった。診察の中で大事な数値などの説明を聞きながら、いやちょっと待ってくれ、その前にさ、と。

つくづく、思った。
がんの発見~手術~一番大事な術後二年間まで、この人のことは信じてみようと思える主治医で本当によかったなというのがひとつ。もうひとつは、こんな仕事をしているにも関わらず、自分が信頼する相手が変わってしまうことの重さや不安を、頭ではわかっていても心でわかってなかったなということ。

がんが見つかった時にも、散々がん患者さんと関わってきたのに、こんなにもわかってあげられてなかったんだ…と恥ずかしくて消えたくなったけど、今回もまた同じくらい恥ずかしくなってしまった。医療と介護ではまた違うのはわかるけど、訪問介護の現場を終える頃、最後の訪問になった利用者さんやご家族さんが総出で見送ってくれたことがある。ねえ、ハグさせてもらっていい?と最後にご家族さんから言われたこともある。

あの人たち、こんな気持ちになっていたのに、起業を応援するためにあんな風に送り出してくれたんだな、あの想いを受け取るには、あの頃の自分はあまりにも幼稚過ぎてその資格がなかったな、小さくて、情けなくて、恥ずかしい。

そういう想いもすべて引き受けて、この会社を育てていかなきゃなんだよね。

 

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