2024.4.2 再会

この写真は、わたしたちにとって、とても胸に迫る一枚です。

写っているのは右から、よく連携させていただいているCMさん、利用者様のご家族様、地域包括支援センターの看護師さん、そして弊ステーション管理者です。実は一昨年の年末、右から二人目の方のご家族様を、他の三人でチームを組んでお看取りをさせていただきました。11日間の訪問でした。
緩和病棟にいた利用者様にたいしてご家族が「本人が家に帰りたがっている、どうしても家に帰してあげたい」という強い願いがあり、その第一報の相談を受けた地域包括の看護師さんが「病院と揉めてしまうかもしれません、覚悟はありますか?」とご家族様に問うたところ「あります」「ならば、わたしにまかせてください」。その日のうちにチームが結成され、いおりも参加させていただきました。そして昨日、たった11日間で解散したチームの約一年ぶりの再会でした。

実はいまご近所の地域包括支援センターの看護師さんが発起人となって、“グリーフケア”を核に置いた何かしらのケア拠点を地域に創出できないかと、有志たちが集まって企画しています。その企画にいおりとSkyhook も参加させていただいており、その第一回として発起人がお花見会を開催してくださり、再会出来たのです。

特にまだ広報などしていないのですが、地域包括の方が声を掛けてくださったところ、ケア職や主催者を含め、初回から14人が集いました。昨日は配偶者を亡くされた方が何人かいらっしゃり、皆様、ひとりずつ心情を吐露されていたのですが、本当に人のこころは、底深く、複雑で、たしかに温度があることをあらためて鮮烈に感じさせられた会でした。

在宅ケアの従事者は、お看取りをさせていただき利用者様やご家族様と別れ、仕事としてのお付き合いが終わったとしても、その後もお互いに地域住民であることに変わらないのです。ご逝去後のグリーフケアにも伺っていますが、また時間がたって気持ちがほぐれてから、同じ地域の住民として新たに出会い直してともに暮らしていくこと、それもまたグリーフケアではないでしょうか。
こういう再会は、特にケア職である我々自身にとっても、心の奥のかたまりが解けていくような、非常に大切なケアになりうると思います。昨日はむしろケア職の方々が口々に「救われた」と言っていました。こんな円環的な関わり方を、デザイン思考を使いながら実装していきたいです。

今回は配偶者を亡くされた方がおもな参加者でしたが、お子さんを亡くされたり、ペットを亡くされたり、障害を負ったり、被災したり、キャリアを失ったり、喪失やそれにともなう悲哀の重さは人それぞれだと思います。そのどれもが本当のことだと思います。

写真右から二人目の方のエピソードをひとつご紹介せてください。
ご家族様が緩和ケア病棟から帰宅して、食事もとれなくなり、意識も遠のいてきた時期、それでも必ず食事の用意をしていたそうです。その理由は「食事の用意をする音はきっと聞こえている」「食べられなくても匂いは味わってくれている」からだそうです。

こんな風に利用者様から教えられ手渡されたケアを、またこちらからも地域に手渡しで御返しできて、それが自然に未来に繋がってゆくような、そんなケアの拠点をつくりたいと思います。

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