当事者としてのケアを目指して

みなさま、はじめまして。今春からいおりで働いている看護師のKと申します。

私は、生まれつき総排泄腔外反症と呼ばれる障害を持っています。文字だと分かりづらいですが所謂オストメイトであり、かつ常時失禁状態なので24時間尿取りパッドを付けて生活しています。

これまで約4年、大学病院で消化器外科や呼吸器内科など急性期を扱う病院で働いていました。自分自身、生まれた日から何十回も入退院を繰り返しながら生きてきて、医療にとても近い暮らしをしてきたこともあり、看護師になることは当たり前だと思い、資格を取り就職したのですが、鳴り止まないナースコール、当たり前のような人員不足、膨らみ続ける作業、それらに疲弊し、もともと強くない身体を壊してしまったこともあり、4年で大学病院を退職せざるを得ませんでした。 どうしても、私自身の患者としての、オストメイトとしての経験を生かして働くことを念頭に置くと、自分なりの看護師像は︎︎“本人の言葉にできない苦しみを分かっているからこそ丁寧に接する”だとか”話を親身に聞いて日常生活を支える具体的なアイデアを提供する”ということだったのですが、病棟看護では中々実践が困難でした。

そんな時、次はどういう働き方をするべきか悩みながら調べていた時、たまたま目に入ったのが「WOCが管理者の訪問看護ステーション」であるナーシングケアいおりの求人でした。当時はまだ東京に住んでいなかったのですが、オンラインでの面接を受けさせていただき、”絶対ここで働きたい!”と思えた職場で、内定をいただけた後、東京に引っ越して就職しました。

働く前は”自分ひとりで正しい判断が出来ないし直ぐに相談出来ないから不安…”と思っていました。しかし実際に働いてみると、訪問先で困ったことがあってもスマートフォンでスムーズに他のスタッフと相談が出来ます(病棟看護師をしている時はこの発想が全くなかったので驚きました)。さらに、ステーションに帰ってからも普段の会話の中で気軽にケアに関する疑問を話し合える空気感があるため、病棟では怯えて言えなかった自分の意見を言葉にすることができるようになり、以前より自分に自信と責任が付いたような気がします。これはいおりのキャラクターの素晴らしいところだとも思っています。

また、障害のために尿取りパッドを1日に何個も消費するため、どうしてもトイレ内に専用ゴミ箱などを設置していただく必要があったのですが、むしろ会社の方から親身に様々なアイデアを提案していただき、いまは快適な環境で過ごすこと、働くことが実現出来ています。今振り返ってみると、面接でも感じた会社としてのそういう姿勢そのものが、私の理想とする看護師像と同じ方向を向いている気がします。

実際に訪問看護で働いてみて嬉しい誤算だったのが、訪問の合間に自転車移動の時間があることです。病棟ではケアの実施中や休憩に関わらず常に病棟にいるため、中々気持ちの切り替え出来ず、色々な事を次の仕事まで引きずりがちだったのですが、訪問看護では次に接する利用者さまへ向かうまでに時間があるため、以前より気持ちを切り替えられる余裕が出来たと思います。

働き始めてまだ一年未満で毎日色んなことがありますが、在宅という利用者さまの生活に密着した場所でじっくりとお話を聞ける訪問看護がとても楽しいです。まだまだ未熟ゆえ、訪問看護師として、自分の今までの経験をふくめ活かしきれているとは思えませんが、日々精進して、私自身の当事者としての経験をふまえたケアを提供できる素敵な訪問看護師になっていきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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